コーヒーの味や香りを決めるための重要な工程である焙煎。
焼き加減だけではなく、焙煎時間や温度など変化ひとつで、風味に大きく影響します。
コーヒー豆はどのように作られているの?
自家焙煎に挑戦してみたいけど、どうすればよいだろう?
このような疑問や悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コーヒー豆の焙煎についての基礎基本を徹底解説していきます。また、実際に手回し焙煎機を使った焙煎の流れも紹介していくので、自家焙煎に興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
かくいう筆者は、コーヒー沼にどっぷりハマって、手回し焙煎機に手を出し、紆余曲折ありながら北海道札幌市でシングルオリジンコーヒー専門店をオープンしました(オンラインのみ)。
時間単位、温度単位で焙煎を研究し、コーヒー豆を焼いているので、ぜひオンラインショップも覗いてみてくださいね。
コーヒー豆の焙煎とは?
そもそも、コーヒー豆の焙煎とは何かが分からないという方も多いので、焙煎について解説していきます。
収穫されたコーヒーの生豆を炒る加熱作業のこと
焙煎とは、コーヒーの木から収穫されたの生豆を炒る加熱作業のことです。(「焙煎」は、よく「ロースト」とも呼ばれます。)
厳密に言えば、コーヒーの木から収穫されるのは、生豆ではなく、コーヒーチェリーと呼ばれる果実です。果実の中には、種が入っていて、その種を乾かしたものが生豆となります。
生豆は白く薄緑色で、ドリップして飲むことはおすすめしません。渋みや青臭さがひどくて、「捨てる」という勿体ない選択肢しか残らないからです。
焙煎時間や熱のかけ方によって風味が変化する
生豆を焙煎することで、熱との化学反応がおき、コーヒー豆特有の苦味や酸味が形成されます。
そして、焙煎する時間の長さや熱の加え方によって、焙煎度合いが決まります。
つまり、焙煎時間と熱のかけ方によって、完成したコーヒー豆の風味も変化するということです。同じ味を何度も再現することは、とても難しいのが焙煎であり、同時に難しさの中にある面白さも感じられますね。
焙煎度合いによる風味の変化
焙煎度合いによって風味は変わります。では、具体的に何種類の焙煎度合いがあって、どんな風味変化があるのでしょうか。
具体的には大きく4つの焙煎度合いがあります。
- 浅煎り
→ライトロースト
→シナモンロースト - 中煎り
→ミディアムロースト
→ハイロースト - 深煎り
→シティロースト
→フルシティロースト - 極深煎り
→フレンチロースト
→イタリアンロースト
4つの焙煎度合いの中でも、さらに8段階に分けられています。
簡単に解説すると、焙煎度合いが浅い(浅煎り)場合は酸味が強く感じられ、深ければ(深煎り)苦味が強く感じられるのです。焙煎時間は、浅煎りほど短時間で、深煎りになるにつれ長くなります。
では、具体的にそれぞれの焙煎度合いについて解説していきます。
浅煎り焙煎の場合
浅煎り焙煎の場合は、酸味が強く感じられます。酸味というと、レモンのように酸っぱいという印象で敬遠しがちですが、少し違います。
浅煎りの場合は、果実感溢れるフルーティーな酸味です。
カロリーをかけすぎないため、苦味が抑えられて、コーヒー豆本来の風味を楽しめる焙煎度合いです。実は、「コーヒー=苦い」というのは本質的ではなく、浅煎り焙煎のコーヒーを飲めば、果物やお菓子のような味がする個性的な飲み物だと分かります。
短時間で一気に焼き上げる必要があるため、均一に熱を通すことが難しく、生焼けになってしまうこともあります。浅煎り焙煎の難易度は高めです。
中煎り焙煎の場合
中煎り焙煎は、浅煎りと深煎りの中間地点の焙煎。つまり、酸味も多少感じられるし、コーヒーの苦味も感じられるのです。
アメリカンコーヒーのような味わいに分類されることが多いのが中煎りです。豆の種類によっては、浅煎りのように酸味を感じられることもあります。
中煎りに分類される「ハイロースト」は、飲用されることが多く、一般的な焙煎度合いです。
深煎り焙煎の場合
深煎り焙煎は、苦味を強く感じられます。苦味というとネガティブに聞こえますが、近い印象として、ナッツやダークチョコレート、赤ワインがあげられます。
ドリップで抽出するほか、エスプレッソで抽出される豆にも、よく使われる焙煎度合いです。焙煎時間を長めにとり、じっくりと焼き上げていきます。
ちなみに、エスプレッソは、「苦味を追求しためっちゃ少ないコーヒー」と思われがちですが、実は違います。むしろ反対で、エスプレッソのほうが、フルーティーな味わいが楽しめます。
短時間で抽出するため、コーヒーの雑味を出さず、旨味だけを引き出します。よって、コクや苦味、甘味、酸味のバランスが良い最強なコーヒーなのです。
極深煎り焙煎の場合
よくアイスコーヒーやカフェラテ、カフェオレに使用される焙煎度合いです。そのままドリップして飲むと、苦味がとても強いので、「コーヒーといえば苦味やろ」「どろっとした苦いコーヒーが好き」という方にはおすすめ。
アイスコーヒーやカフェオレを美味しく淹れるためには、氷や牛乳に負けないコーヒーを抽出することが大切です。いわゆる「濃いコーヒー」です。
抽出方法によっても濃さは変えられますが、手っ取り早いのは焙煎度合いを変えて、普段通りの時間で抽出することです。
黒光りしているコーヒー豆があったら、それは極深煎りの証。
焙煎の種類は大きく3種類!
ここからは焙煎の種類について解説していきます。具体的には大きく3つあります。
- 直火式焙煎
- 熱風式焙煎
- 半熱風式焙煎
普段飲むコーヒーはどのように焙煎されているのかを知ることで、よりコーヒーを楽しめるはず。それでは、詳しく解説していきます。
直火式焙煎
コーヒー豆に直接火を当てる焙煎方法です。火と豆の距離が近いため、火加減の調整が難しいとされています。
手回し焙煎機や手網式焙煎機でよくある焙煎方法ですね。
火力の変化がダイレクトに風味に影響するのが一番の特徴。直火式焙煎の場合は、外気の影響も受けやすいため、美味しい豆を焼くためには、技術が重要になります。
直火式焙煎でできたコーヒー豆の風味は、苦味やコク、香りが豊かです。深煎り文化の歴史が長い日本で開発されたと考えられる焙煎方法で、代表的なメーカーも日本会社が多いとされています(富士ローヤルやラッキーコーヒーマシンなど)。
熱風式焙煎
シリンダーの内部に熱風を吹き込むことで焙煎する方法です。熱風式は熱量をコントロールしやすく、豆を均一に加熱できるため、生産効率が高め。つまり、大規模な焙煎工場でよく使われるのです。
近年では、スペシャルティコーヒーの焙煎に使われることがあります。家庭向けの熱風式焙煎機も販売されているため、より身近な焙煎方法になりつつあります。
熱風式焙煎の場合は、苦味や酸味が抑えられ、あっさりした味わいです。
半熱風式焙煎
半熱風式焙煎は、直火式と熱風式の良いとこどりした焙煎方法です。コーヒー豆をドラム型の焙煎機に入れ、ドラムを回転させて熱風を送り込みます。
熱風式との違いは、熱源がドラムの近くに設置されていることです。電動熱が中心になるため、熱が高いままで安定させることができ、熱風の量・ドラムの分厚さで火力を自在に調整できます。
スペシャルティコーヒーの焙煎や浅煎りコーヒー専門店で使われる焙煎方法です。コーヒー豆本来の個性を最大限出せるため、焙煎の大会や世界的に有名なコーヒーショップでも使用されています。
半熱風式焙煎の場合は、酸味や甘味、苦味、コクなどのバランスが良い味わいです。
手回し焙煎機で実際に焙煎してみよう!
ここからは、実際に焙煎する時の流れを紹介します。
私が持っている手回し焙煎機を使用して、コーヒー豆を焙煎していきます。
焙煎に使用する道具、焙煎のポイントもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
焙煎前に準備する道具
焙煎に必要な道具は以下の通りです。
- 焙煎機
- ガスコンロ
- ガスボンベ
- 温度計
- 軍手
- ろうと(この写真にはありませんが…)
- コンロの下に敷くトレー(あれば)
上記の中には、必要ないものもありますが、あると便利な道具です。
そして、今回使う生豆はこちら。
海の向こうコーヒーさんから仕入れたベトナムにあるフレイ農園のレッドチェリーです。バタートーストのように香ばしく、甘いコーヒーで、めっちゃ美味いです。
自家焙煎に必要な道具については、以下記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしながら道具の準備をしてみてくださいね。
0.生豆のハンドピック
まずは、欠点豆と呼ばれる生豆を手作業で排除していきます。
簡単にいえば、以下画像の左側にある虫食いの豆や形が変な豆を排除します。欠点豆は味の良し悪しに影響するため、できるだけ長く時間を取って排除していきます。
ハンドピックが終わった生豆の重さはこちらです。今回はこの量を焙煎していきます。
1.生豆を焙煎機に入れる
いきなり生豆を焙煎機に入れる前に、まずは簡単に焙煎機を温めます(予熱)。
おおよそ、2分程度かけて180度前後でカラカラと焙煎機を回した後、焙煎機に生豆を投入します。
投入する時に、上の写真のように「ろうと」があると便利。100均でも買えるので、ひとつ持っておくことをおすすめします。
2.はじめは弱火からスタート
投入できたら、いよいよ焙煎していきます。
温度計だけではなく、タイマーもあると便利ですよ。
まずは、弱火でじっくりと焙煎していきます。
ポイント1:火力調整は料理と同じ
焙煎時の火加減は料理と同じと思ってOKです。
強火ではなく、弱火と中火で加減しながら焼いていきます。
まずは生豆の水分を抜いていくように弱火でじっくりと焙煎し、5分後くらいには中火に切り替え、味を作っていきます。
3.6分後は中火にして火力アップ!
おおよそ6分後で約160度ほど。
そこから中火に火力をアップし、生豆にカロリーを与えていきます。
4.1爆ぜ(ハゼ)/ここで止めると浅煎り
おおよそ180度前後に達する、焙煎開始から8分〜9分ほどで1ハゼが起きます。
ここで焙煎を終えるとコーヒー豆の個性が分かる浅煎りに仕上がります。
ポイント2:爆ぜ(ハゼ)について
5.2爆ぜ(ハゼ)/ここで止めると深煎り
1ハゼが終わり、2分〜3分後のおおよそ190度〜200度前後で、2ハゼが起きます。※写真はこの時のものではありません。
ここで焙煎を終了すると、苦味のあるコーヒー豆に仕上がります。深煎り好きな方は2ハゼまで焙煎し、ハゼが終わり次第、火からおろしましょう。
6.焙煎後はすぐに冷ます
焙煎が終了したらすぐに火からおろし、ザルに移し替えます。
移し替えたあとは、うちわなどで冷却していきます。
焙煎終了後、火からおろしても100度以上の熱を豆が持っているため、焙煎が続いているんです。つまり、火からおろしただけでは焙煎を終えていないということ。
たとえば浅煎りの状態で火からおろしたはずが、焙煎後の熱によりさらに焙煎が進み、結果的に中煎りになることがあります。
勝手に焙煎が進むのを避けるために、焙煎が終わったらすぐに冷却をしていきます。
冷却し終えたコーヒー豆の量はこちらです。
ちょうど49gになりました。今回1ハゼ終了後に焙煎を終えているため、浅煎り〜中煎りくらいの仕上がりになっています。
(豆がふっくらしていてとても美味しそう…)
フライパンを使って焙煎することも可能!
実は焙煎機を使わなくても、フライパンを使って焙煎をすることもできます。
今回紹介している焙煎要領で焼いていけば、比較的美味しく焼けるはずです。火力は弱火〜中火で焙煎することを忘れなければOK。
私はフライパン焙煎をしたことがないのですが、ロースターとして、このコーヒーメディアを運営する身として、経験しない理由がないので、今後レビュー記事を出す予定です。
手回し焙煎で失敗しないためのコツ5選
手回し焙煎機で自家焙煎を始めてみたものの、なかなか美味しく焼くことができず、何度も挫折しそうになった経験があります。
また、これから焙煎に手をつけようとしているそこのあなたは、きっと「美味しく焼けるのか不安…」と感じているのではないでしょうか。
そんな方のために、ここからは、焙煎に失敗しないためのコツを5つ紹介していきます。
とりあえずこの5つのポイントを抑えておけば、カフェほどではないですが、美味しいコーヒーが焼けます。ぜひ、自家焙煎する時の参考にしてみてくださいね。
1.火力は弱火から中火で調整
火力は弱火から中火で調整します。お米を炊く時と同じように、「はじめちょろちょろなかぱっぱ」を意識すればOKです。
生豆には、おおよそ15%程度の水分が含まれています。簡単にいえば、その水分をじっくり抜きたいから火力を弱火〜中火で調整します。4〜6分程度の水抜き時間がベストです。
初期の段階から一気に強火で焙煎してしまうと、水抜きがうまくできず、表面だけ焼けたコーヒー豆ができあがります。また、芯までしっかりと火が通らないため、煎りムラになりやすいのです。
水抜きができていないコーヒー豆は、「エグ味」「渋味」「青臭さ」などの風味の特徴があります。
まずは、最初の何分間を焙煎機と生豆のウォームアップ時間だと考え、その後、中火に切り替えて、本焙煎をしていくようなイメージですね。
2.一定スピードで豆を攪拌する
さきほど、火力が強すぎると煎りムラになると紹介しましたが、生豆を攪拌するスピードも煎りムラに影響します。
手回し焙煎をするときは、一定スピードで豆を攪拌していきましょう。おおよそ、1秒間に2回もしくは1回のペースで撹拌することがおすすめ。
異なった攪拌スピードで焙煎をしていると、均一に焼くことができず、半分焼けているのに半分は焼けていないというコーヒー豆ができあがります。
できあがったコーヒー豆の色の違いは歴然で、煎りムラがあることで、えぐみや渋みを強く感じますよ。
3.焙煎時間は長くても20分以内におさめる
焙煎時間が長くなると風味が損なわれてしまいます。焙煎時間は、長くても20分以内におさめましょう。
これは、加水分解が強く起きてしまうことが影響しています。
※加水分解とは…コーヒー生豆の成分のひとつであるクロロゲン酸に水が加わり、2種類の酸に分解されることです。
加水分解が過剰に起きることにより、コーヒーの風味形成がうまくできず、結果として酸味の強いコーヒーになります。
美味しいコーヒー豆を焼くためにも、焙煎時間の目安を理解し、自家焙煎に挑戦してみてください。
ちなみに、焙煎時間が長いとコーヒー豆が発火し、火事になる危険性があります。深煎りや極深煎り焙煎をする方は要注意です。
4.好みの味から逆算して煎り止めを調整
逆算して煎り止めを考えるのは難しく感じてしまいますが、大丈夫です。自分はどの焙煎度合いのコーヒー豆が好きなのかをまずは考えてみましょう。
簡単な話で、例えば、苦味が強い深煎りが好きなのであれば、目安として、焙煎時間は長めにします。
下記ように、自分好みの焙煎度合いを、見つけて、その深度に対して、逆算して焙煎時間を決めていきましょう。
- 浅煎りの場合は、約8〜10分ほどの焙煎時間
- 中煎りの場合は、約11分〜13分ほどの焙煎時間
- 深煎りの場合は、約14分〜15分ほどの焙煎時間
5.品質の良い生豆を使用する
最後に、焙煎に失敗しない方法として、品質の高い生豆を使うことです。
私も何度も焙煎してきましたが、高品質な生豆を焙煎することで、自分の焙煎技術に自信がなくても、めちゃくちゃ美味いコーヒー豆が焼けます。
焙煎技術ではなく、豆のポテンシャルに頼った方法なので、最後に紹介しました。
のちほど、生豆の仕入れ先を紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自家焙煎におすすめの焙煎機10選を紹介
ここからは焙煎機のおすすめ商品を紹介していきます。
とりあえず焙煎をやってみたい方、本格的に始めたい方向けに10選紹介するので、焙煎機選びの役に立てばと思っています!
とりあえず焙煎してみたい初心者におすすめの焙煎機5選
まずは、「そこまで焙煎への熱はないけど、とりあえず焙煎してみたい」という方に向けて、商品を5選紹介します。
1.手あみロースター 22cm
コーヒー豆の自家焙煎をしてみたいなら手網の焙煎機がおすすめです。なぜなら、手網焙煎でもコツを掴めば十分美味しく焼けるからです。
また、リーズナブルな価格も初めて焙煎する方にとっても嬉しいポイント。
ただ、焙煎中は手網をふり続ける必要があるので、若干労力がかかってしまいます。
とりあえず、手頃に買える焙煎機で焙煎をしてみたいという方におすすめの焙煎機です。
2.ユニオンサンプルロースター 手動式
手回し焙煎機のなかでも有能なのがユニオンサンプルロースターです。この焙煎機を使って、コーヒーショップを運営している方もいるほど。
手網焙煎機よりも多少値は張るものの、焙煎のしやすさでいえば手回しの中でもダントツです。
また、自家焙煎のコーヒーショップをオンラインで始める時にも使える焙煎機。つまり、練習すれば提供できるほど美味しいコーヒーも焼けますね。
3.アウベルクラフト遠赤コーヒー焙煎キットLタイプ
ユニオンよりも手頃に購入でき、手網焙煎機よりも性能の高い手回し焙煎機。
私が最初に購入したのは、この焙煎機です。選んだ決め手は、大きくふたつ。焙煎で重要な火加減がわかりやすいように遠赤ネットがあることと、四角い形状による均一な焙煎ができることです。
生豆150g付き+上手に焙煎がしやすい焙煎機。2万円以内で、購入できるので、コスパ抜群です。
4.LITHON (ライソン) ホームロースター KLRT-001B
ここからは自動の焙煎機です。
ライソンのホームロースターは、60gの少量から焙煎できます。家庭用として、1台焙煎機がほしい方や焙煎を勉強するためにサンプルの豆を作りたい方にピッタリ。
手回しと違って、簡単に美味しい豆が焼けて、しかも掃除もラクラクできると考えると、めちゃくちゃ嬉しいですね。
この焙煎機は、家電量販店でも購入できるので、今すぐ欲しい方は近くのお店に問い合わせしてみるのもおすすめです。
5.SY-121N コーヒー焙煎機
ライソンのホームロースターと似ていますが、浅煎り、中煎り、深煎りと焙煎度合いを選択して、自動焙煎できる焙煎機です。
最大100gを焙煎できる小型タイプなので、たとえば旅行先に生豆と焙煎機を持っていって、焙煎することも可能(そんなやついるんか…)。
それはさておき、熱風式なので直火式に比べて焼きムラが少なく、カフェレベルのコーヒー豆が焼けます。
ちなみに、コーヒー豆だけではなく、ポップコーンも作れるので、ほかの用途にも使える焙煎機がほしいならコレ一択です。
本格的に焙煎したい方におすすめの焙煎機5選
すでに焙煎熱が高く、「自分でカフェレベルに美味しい豆を焼きたい!」と本格的に焙煎に興味を持っている方に向けて、商品を5選紹介します。
実際に、私が使っている焙煎機だけではなく、ショップオープンに向けて購入を検討した焙煎機も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!
1.KAKACOO コーヒーロースター
僕がコーヒーショップを始める時に、迷った焙煎機。アウベルクラフトにするか、KAKACOOにするか迷いましたが、個人的にスモールスタートの価値観だったので、選びませんでした。
とはいえ、価格は3万円台で、自動で焙煎してくれるし、データを取れる温度計を別で買って繋げれば焙煎プロファイルも取れる優れもの。
今回ここで紹介する5つの中で一番安いので、予算3万円以内で、比較的性能が高いかつ美味しく焼ける焙煎機を探しているならコレ一択です。
2.サンドボックス スマート コーヒーロースター
最近、第2世代が出たサンドボックス。
もちろん第2世代のほうが焙煎量も性能も高いけど、予算10万円前後であれば確実にサンドボックス第1世代を買うのがおすすめ。
スマホとBluetoothで繋げることで、温度管理もできるし、プロファイル作成も簡単にできます。
焙煎量は100gだからホームロースターとしても十分に使えて、お家で自家焙煎コーヒーを楽しむことだって可能です。
3.KALDI(カルディ)フォーティス コーヒーロースター
あのKALDI(カルディ)ではありません。韓国のメーカーです。
フォーティスは本格的に焙煎を始めたい方向け。焙煎時の温度を管理するソフト(artisan)と同期できる温度計付きで、焙煎量も500gと多め。
私も初めはフォーティスを実家の焙煎所において、秀抜に焙煎しようかと考えていました。
家庭用向けではないので、自分で焙煎したコーヒーを他の人に振る舞いたい人は購入を検討しましょう。
ただ価格は15万円前後と多少値を張るので、予算を考えた上で決めましょう。
4.ダイニチ コーヒー豆焙煎機 MR-101
意外と良さが知られていないダイニチの焙煎機。
コンパクトかつ焙煎音も静かで、ボタンひとつでカフェよりもランクアップしたコーヒーが飲めます。1回の投入容量は120gで、焙煎終了時には100g程度になっています。
完全冷却が完了してからでないと焙煎ができない機械もあるなか、ダイニチのMR-101は連続焙煎が可能です。
耐久性も文句なしで、10年以上長く愛用していける焙煎機がほしいなら、お金を出す価値あり。コスパも考えれば、控えめにいって最強です。
5.kaleido(カレイド) sniper M1 pro
最後に紹介するのは、私が今使用している焙煎機です。
Kaleido(カレイド)という中国のメーカーで、 個人輸入をしました。LIGHT UP COFFEEの川野さんのYouTubeで紹介されていたCOFFEE SHOCOさんで、同じメーカーの焙煎機を使っています。
焙煎容量は150gで最低容量は50g、焙煎ソフトのartisanとBluetoothで繋げることができます。PCからプロファイルを読み込ませて、自動焙煎することも、自分の好きな温度に調節して、手動焙煎することも可能です。
50gから焙煎できるので、サンプル作成にもちょうどよく、僕は日々温度や時間を変えてコーヒー豆のサンプル作りに励んでいます。
できあがった豆は、今まで手回しで焙煎していた豆よりも、めちゃくちゃ美味しく、コーヒー豆の個性を出せて嬉しい限りです。
Kaleidoで焼いたコーヒー豆を試飲してみたい方はぜひ、私のショップから豆を購入してみてください。
焙煎する生豆の仕入れ先はどこ?
ここからは、焙煎する生豆の仕入れ先を紹介します。
一部、開業届けを出していないと購入できないお店もありますが、基本的には個人利用でも購入できるお店です。
品質の高いコーヒー豆が買えるので、参考にしてみてくださいね。
スペシャルティコーヒーのワタル
日本を代表する生豆の業者です。店名の通りスペシャルティのみを扱っているため、ここで紹介するお店の中で一番の品質。ただ、最低購入量が5kgと多めなので、1度の買い物で7000円以上になることはザラ。
1kg単位で考えれば他のお店と変わらず安いため、まとめて買って焙煎の練習にするのもよいですね。
利用する際には、簡単な事前審査がありますが、そこまで厳しくありません。私もショップをオープンする前に初めて登録した業者さんですが、翌日には通過の連絡が来ました。
本格的に自家焙煎をやろうと思ったら、まずはワタルから生豆を購入しましょう。
海の向こうコーヒー
エチオピアやケニア、コロンビアなどの王道の生産国だけではなく、ミャンマーやフィリピンなどアジア諸国の豆の仕入れにも力を入れているお店。もちろん品質は高いです。
200gのサンプルを販売しているため、「とりあえず200g買って1、2回焙煎をしてみたい。」という方も使いやすいお店です。
実際に私も海の向こうコーヒーさんから仕入れています。焙煎された豆を飲んでみたい方は、サンプルをお送りしますので、お気軽にショップからお問い合わせください。
生豆本舗
種類の豊富さはピカイチです。事実、100種類以上の生豆を取り揃えています。
また、種類が多いだけではなく、欠点豆も少なめ。生豆本舗では、生豆を研磨機にかけ、チャフと呼ばれる豆の薄皮やゴミを除去します。簡単にいえば、雑味の少ないコーヒー豆を焙煎できるということですね。
そして、100gの小分け販売もしているため、少量から買える仕入れ先を探している方におすすめですよ。
松屋珈琲
コーヒーの単価が安く、高品質の生豆を取り揃えているのが松屋珈琲。会員登録や審査がないため、「とりあえず自家焙煎してみようかな」と思ったら、覗いておきたい生豆のお店です。
取り扱っている豆の種類はそこまで多いわけではありませんが、買ってハズレが出ることはありません。
生豆は1kgから購入でき、10kgなど量が多くなれば単価も安くなります。また、送料は1注文ごとにかかってしまうため、まとめて買うことをおすすめします。
ワールドビーンズショップ
生豆本舗に負けない、種類の豊富さです。ワールドビーンズショップ同様に、おおよそ100種類以上の生豆を取り扱っています。単一国だけで、20種類以上あるほど。生豆は、1kgから購入できます。
私も購入してみましたが、品質は高くなく、低くなくという印象でした。ただ、「今月のセール品」として、お得に生豆が買えるチャンスが来るので、品質の良いコーヒー豆に出会えるかもしれません。
ユーエスプレミアム
最後に紹介するお店は、ユーエスプレミアム。コーヒーの商社である石光商事の完全子会社で、豆の品質はトップレベル。Amazonでも少量を購入できるため、手軽に変えます。
種類は20〜30種類程度なので、そこまで多くはありませんが、高品質かつ100gのお試しも買えるため、おすすめのお店です。
焙煎に関するFAQ
これまで焙煎に関するあれこれを紹介してきましたが、最後によくある質問に回答していきます。
おそらく焙煎を始めてからか、これまでに一度は疑問に思うことなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
生豆を水洗いしてから焙煎するのはどうなの?
結論、風味は損なわれます。
なぜなら、コーヒー豆の成分は水溶性であり、洗うことにより大事な成分が溶け出してしまうからです。
とはいえ、味はクリアでスッキリとしたコーヒーに仕上がります。風味以外にも、水洗いするメリットはあり、汚れを落としたり、燻製臭の原因になるチャフを取れたり、欠点豆を見つけやすくしたりできます。
生豆は水洗いせず、焙煎するほうが美味しくコーヒーを楽しめますが、興味があれば、水洗いしてから焙煎した豆と洗わないで焙煎した豆を飲み比べてみてくださいね。
生豆のハンドピックは必要なの?
ハンドピックは超重要です。
焙煎後の味を左右するといっても過言ではありません。
さきほど生豆を焙煎する流れを紹介しましたが、そこでもあったように、虫食いの豆や形がボロボロの生豆もあります。これらを欠点豆と言ったりします。
見た目が悪いから美味しくないとはいえませんが、取り除く方がクオリティが上がります。
焙煎したコーヒー豆の保存方法は?
保存容器に入れて、冷蔵庫や冷凍庫での保管が一般的です。
コーヒー豆は、大きく4つの条件で保存方法を確定させるといわれています。
- 紫外線にあたらない
- 酸素に触れない
- 高温が避けられる
- 多湿を避け、湿度が一定に保たれる
これらの条件を満たすことで、鮮度を保ったまま、劣化を防げます。
しかし、コーヒー豆の「劣化」は、良くも悪くも味の変化を楽しめます。
私も冷凍庫で保管していましたが、あえて酸素に触れるキッチンでエイジングさせて、コーヒー豆の味の変化を楽しんでいます。
焙煎直後の豆はあまり美味しくないって本当?
美味しくないというよりは、焙煎直後は味が不透明で落ち着いていません。コーヒー豆の劣化を楽しむということを上述しましたが、それに関係することで、焙煎直後は二酸化炭素を多く含んでいます。
焙煎直後の豆をドリップしてみると、豆がよく膨らみます。新鮮の証でもありますが、同時にガス(空気)に触れ合うため、お湯と粉がしっかり反応しないままドリップされます。
お湯と粉がよく触れ合わないと成分を抽出できないことから、あまり美味しくないとされています(個人的には好きではないです)。
おおよその飲み頃は焙煎日から3日後くらいです。浅煎りコーヒー豆の場合は、2週間後が飲み頃といわれているので、参考にしてみてくださいね。
まとめ
ここまで、焙煎に関する基礎基本やおすすめの焙煎機、生豆の仕入れ先などを紹介してきました。
コーヒーの焙煎は奥が深く、温度のかけかた、火のかけかた、焙煎時間によっても味わいが変わります。
自分で焙煎してできたコーヒーは、誰が何を言おうと美味いです。その感動を少しでも多くの人に味わってほしいと思っています。
今回の記事を読んで、少しでも「焙煎やってみたいな…」と思った方は、ぜひ手網の焙煎機を買って、始めてみてくださいね。
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